第二回「ウォン・カーウァイ監督の映画、恋についての記憶」

シン狂人日記、第二回はウォン・カーウァイ監督の映画や、僕が高校生の頃の恋についての記憶などについて書こうと思う。

今でも僕の大きなインスピレーションになっているウォン・カーウァイ監督の映画を初めて観たのは、高校生の頃、「恋する惑星」という映画をレンタルビデオ屋でVHSで借りて観たのが初めてだ。スタイリッシュで独特なカメラワークや村上春樹的な台詞、すれ違い続ける男女の模様、疾走感、音楽の使い方の上手さ。。
僕は「恋する惑星」を見終わった後、すっかり恋に落ちてしまった様に
「今すぐ抱きしめたい」「欲望の翼」といった過去にカーウァイ監督が撮った映画を熱にうなされる様に何度も観た。
特に「欲望の翼」に関しては、
何度も何度も見返した。
「1960年4月16日。三時前の一分間、君は僕といた。この一分を忘れない」という台詞や、登場人物たちの満たされない思い、映像自体から漂ってくる切なさに堪らなく夢中になった。

初めて映画館で観たのは、「天使の涙」という映画だった。
大きなスクリーンでカーウァイ監督の映画を観て、めちゃくちゃに感動したことを強く覚えている。
そしてこの映画においても、主人公たちは永遠にすれ違っていた。

僕が「恋する惑星」を観て、恋に落ちた感覚になったのは
当時、僕も高校2年生で初めて恋をするという体験をしていたのも大きいと思う。
僕の初恋は、クラスメイトでジャズが好きな女の子がいて、たまたま休み時間に教室が寒いのでストーブの前にいたらその子もいて音楽の話をしたのがきっかけだった。
殆ど女子と会話をしたことが無かった僕は、嬉しかった。
それからカセットテープに僕の好きな音楽をいっぱい詰め込んで渡したり、
その子からは、僕の知らなかったジャズのアーティストを教えてもらったりした。
映画も一回だけ、一緒に観に行った。
レオナルドディカプリオが出ていたという記憶以外、殆ど覚えていない。僕にとっては好きな人との初めてのデートの様なものでメチャクチャに緊張していたから。
ただ僕は、この気持ちが自分の片思いであるということを痛いほど分かっていたのでそれが苦しかった。
ただの友情。
そう自分に言い聞かせるにはまだ幼く、切なかった。

そんな頃に観たウォン・カーウァイ監督の映画は、
確実に僕の心を救ってくれた。
勝手に感謝している。

次回の更新も楽しみにしていて下さい。
愛を込めて