第六回「オール・アポロジーズ/グランジの時代への追憶」

久しぶりのシン・狂人日記
今回は僕がリアルタイムで聴いて
人生が変わったとさえ言える『グランジ』という音楽ジャンルのことについて書きたいと思う。

1991年、僕が中学生の頃、メタル雑誌を読んでいたら
「シアトルから新しいヘヴィなロックシーンが生まれつつある」という
文章と共に
サウンドガーデン、パールジャム、アリスインチェインズなどのアルバムが紹介されていて、興味を持った僕は
すぐに彼らのアルバムを買って好んで聴いていた。
アリスインチェインズは、もっと前にリリースされた「フェイスリフト」から聴いていた。
どのバンドも格好良くて大好きだった。
のちにこれらの音楽は
「グランジ」
と呼ばれる様になっていった。

その流れの中で、ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」というアルバムも紹介されていて、
アルバムの先行シングル、
「スメルズライクティーンスピリット」をRADIOで初めて聴いた時、
このバンドは
もしかしたら僕の人生を変えてくれるバンドかもしれない
と思った僕は
「ネヴァーマインド」の発売を心待ちにしていた。
そして「ネヴァーマインド」を聴いて、
ニルヴァーナのインタビューと写真を観た時、
このバンドは俺のためにあるバンドだ
と勘違いした。
他のシアトルのバンドは
ハードロックやメタルからの流れでも違和感無く
聴けて、でも新しいヘヴィな音楽の流れなんだろうなと思って聴いていた。

でもニルヴァーナは違った。
完全に他のバンドとは違った。
具体的に何が違ったのか、当時の僕の心境を思い出すと
このバンドは僕のクソみたいな人生を肯定してくれている
そんな気がした。
「別に音楽を演るのにマッチョじゃ無くてもいいし、変人のまんまで良い。そのままのお前で生きていけよ」
と僕の心に直接、訴えかけている様な気がした。

「ネヴァーマインド」を初めて聴いて、
彼らのインタビューや写真を観た時から
ずっと暗黒だった僕の心に
小さな希望が宿った。
もしかしたら、僕もバンドを組んだり音楽を作ることが出来るのかもしれないと。
それは僕にとって救いの様なものだった。

それから色々あって、
ニルヴァーナのカートは死んでしまって
めちゃくちゃ悲しかった。
その悲報を聞いたのが
高校の入学式の日だったのでよく覚えている。
カートの死と共に
グランジムーヴメントも終焉していった。

それでもいつでも鮮やかに思い出すのは、
初めて「スメルズライクティーンスピリット」聴いた時の
あの時の衝撃。
まさに運命だった。

今日、誕生日を迎えた僕は
何とか音楽をバンドを続けている。
今でもニルヴァーナのことを忘れたことは一度も無い。
カート、ありがとう。

愛を込めて