第八回「ポール・トーマス・アンダーソンについて」

今回は昨年観た映画の中でもベストだった『ワン・バトル・アフター・アナザー』という映画を撮った天才、ポール・トーマス・アンダーソンについて書こうと思う。
僕が初めてPTA作品を観たのは『ブギーナイツ』という映画を公開当時、劇場に観に行ったのが初めてだ。
ストーリーは70年代終わりから80年代へと向かっていくポルノ映画業界で働く人間たちの物語。ダイナミックかつ洗練されたエモーショナルな演出と語り口に驚いた。
当時、PTAは26歳の若さである。
「俺たちの時代の天才監督だ!」と観終わった後、興奮したことを覚えている。

その次に劇場で観た『マグノリア』
この映画が凄かった!
ロサンゼルスを舞台に男女9人の24時間を描いたこの群像劇は、
ロバートアルトマン監督の群像劇スタイルを継承しながらも
やり切れない切ない想いを持って生きている人間たちを優しい目で描き
終盤において「人生ではどんなことだって起こりうる」というエモーショナルが爆発する。
3時間ほどの映画だったが観賞後、映画館から出たくなかった。
この映画の世界の中で生きていたいと思ったことを覚えている。
『マグノリア』は世界的に評価されて、まだ若きPTAはあっという間に時代の寵児となった。
音楽も良かった。エイミーマンの素晴らしさをこの映画で知ることが出来た。

次にPTAが撮ったのは『パンチドランク・ラブ』
この映画も非常に面白かった。
カンヌ映画祭でPTAが監督賞を受賞した、不思議だが爽やかで忘れ難い恋愛コメディ。

そして『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の登場である。
主演はダニエル・デイ=ルイス!
彼の演技はどう考えても本当に狂ってた。
凄まじいの一言に過ぎる。
巨大な大河ドラマの中に蠢く狂気の物語。
音楽のジョニー・グリーンウッドも素晴らしい。
石油、宗教、血縁、それらが複雑に絡み合い暴走していく最高の映画!
何もかも凄すぎて映画館で殆ど放心したように観ていた。
そしてエンドクレジットを観ていたら、
2006年に死去した映画監督「ロバート・アルトマンに捧ぐ」という
クレジットが出てきた。
そりゃもう涙であまりスクリーンが見えなかった記憶。
ちなみにこの映画は英BBCが選んだ「21世紀 最高の映画100本」では第3位に選ばれている。

そして次の「ザ・マスター」では新興宗教の教祖とそのカリスマ性に引き寄せられていく男を描いてヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。
主演のホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン共に
ヴェネツィア国際映画祭 最優秀男優賞を受賞。
主演のホアキンの傷ついた獣のような演技が凄まじく、
またストーリーも本当に面白く
もうこの頃のPTAは無双状態に入っていたとしか思えない。
ちなみにこの映画でPTAは、僅か6本のフィルモグラフィで世界三代映画祭の全てで監督賞に輝いた。

ここら辺までが僕が熱心にPTA作品を追っかけていた頃だ。
それから僕にも色んなプライベートなことなどが重なり、
PTAの映画をなかなか劇場まで観に行こうという気分にはならなかった。

日本では2022年に公開された『リコリス・ピザ』からまたPTAの映画を劇場で観るようになった。
アラナ・ハイムとクーパー・ホフマンの演技も良くて
ビタースウィートな良質な映画だった。

そして2025年、
『ワン・バトル・アフター・アナザー』の公開!
めちゃくちゃ楽しみにして観に行ったが、
期待を遙かに大きく超えてくる素晴らしいエンタメ映画で
本当に劇場に観に行って良かったと思った。
レオナルド・ディカプリオのダメ親父っぷりも
ショーン・ペンの変態軍人役も最高に笑えた。
そしてラストのカーチェイスのシーンには
まじで痺れた。

長くなったが、敬愛するポール・トーマス・アンダーソン監督についての想いを書けて嬉しい。
次の更新も楽しみにしていて下さいね。

愛を込めて