このシン・狂人日記では僕の好きな音楽、映画、文学などについてざっくばらんに書いていこうと思う。
第一回は中島らもという作家から受けた影響などについて書こうと思う。
初めて中島らもの作品に触れたのは小学生低学年の頃、父親の部屋にあった「頭の中がカユいんだ」という透明でラリっていて美しい本を読んだのが
初めての中島らも体験となる。
らも本人が、あとがきでアルコールと睡眠薬の力を借りてラリりながら書いたと言っているが、
まだ10歳くらいだった僕は初めて読んだとき、大きな衝撃を受けた。
「こんな狂った大人がちゃんといるんだ」
初めて読んだとき、そう思ったことを強く覚えている。
当時、僕の日常は幼い小学生にも関わらずどんよりと濁っていて
周りにいた大人というものを殆ど信用できずにいた。
それ故「頭の中がカユいんだ」を読み終えた後の深い余韻は凄くて、
それから僕はらもの書いたエッセイ本や小説などをせっせと読み漁ることになる。
「恋は底ぢから」「漠の食べのこし」「今夜、すべてのバーで」
「アマニタ・パンセリナ」「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」
「バンド・オブ・ザ・ナイト」など
大好きなエッセイ本や小説は多く、何せ小学生の頃からの読者でもあるので
影響というよりもはや僕の血液レベルで影響を受けた作家。
中島らもの視点が好きだった。
残酷だけどユーモラスで透明でラリってて美しくて。。
そしていつでもその視点は優しかった。
最後に「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」から僕が特に好きな部分を抜粋する。
中島らもが鬱々と浪人していた時代、夭折してしまった友人についてこう書いている。
ただ、こうして生きてみるとわかるのだが、
めったにはない、何十年に一回くらいしかないかもしれないが、
「生きていてよかった」と思う夜がある。
一度でもそういうことがあれば、その思いだけがあれば、
あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。
だから「あいつも生きてりゃよかったのに」と思う。
生きていて、バカをやって、アル中になって、醜く老いていって、
それでも「まんざらでもない」瞬間を額に入れてときどき眺めたりして、
そうやって生きていれば良かったのに、と思う。
あんまりあわてるから損をするんだ、わかったか、とそう思うのだ。
次回の更新も楽しみにしておいてください。
愛を込めて。